| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S11  3月5日 17:00-20:00 Room F

群集生態学のフロンティア: 大規模データ時代の分析と理論検証
Frontiers in community ecology: analyses and theories in the era of big data

東樹宏和(京都大学)
Hirokazu TOJU(Kyoto University)

DNAシーケンサーの高性能化により、環境中に生息する無数の生物種に関する情報が迅速かつ大量に得られるようになった。また、腸内細菌叢や植物共生微生物叢に関する研究が急速に発展し、生態学をバックグラウンドとしない多くの研究者が、生物群集に関する大規模データを蓄積するようになった。応用科学上の熱視線も注がれる中、微生物群集の動態を予測・制御する能力で理論や研究分野が淘汰される時代を迎えている。この「他流試合」において、比較的少数種で構成される植物群落や動物群集での知見を基に発展してきた群集生態学の概念や理論は、果たして生き残れるのであろうか? 膨大な実データで理論が検証される「逃げ場のない」世界において、伝統を盾に防戦することはできない。知の追求の行き着く先にこそ、基礎科学の革新と広範な応用科学の展開が待っている。大規模DNA分析・ネットワーク科学・情報科学を融合する領域で生まれつつある生物群集の解析法により、生態系科学が100年に一度とも言える変革期を迎えつつある。本シンポジウムでは、生物群集の詳細な時系列動態データや複雑ネットワーク・データを分析する新手法を紹介しつつ、厳密に理論を検証する科学をいかに築き上げていけるのか、議論したい。

山道真人(東大・総合文化)「群集生態学のこれまでとこれから」
阿部真人(理研・AIP)「ネットワークからみる群集理論」
鈴木健大(理研・BRC)「生物群集のエネルギーランドスケープ解析とその応用」
川津一隆(東北大・理)「相互作用の密度依存性と動態の安定性:理論と実証」
潮雅之(京大・白眉)「生物群集の多様性と動態を説明する"相互作用容量仮説"」
東樹宏和(京大・生態研)「群集動態の予測・制御と頑健な生態系の設計」

[S11-1]
群集生態学のこれまでとこれから *山道真人(東京大学)
The past and future of community ecology *Masato YAMAMICHI(University of Tokyo)

[S11-2]
ネットワークからみる群集理論 *阿部真人(理化学研究所)
Network theory for community ecology *Masato ABE(RIKEN)

[S11-3]
生物群集のエネルギーランドスケープ解析とその応用 *鈴木健大(理化学研究所)
Energy landscape analysis of ecological communities and its applications *Kenta SUZUKI(RIKEN)

[S11-4]
相互作用の密度依存性と動態の安定性:理論と実証 *川津一隆(東北大学)
Density dependence and stability of interactions: theory and practice *Kazutaka KAWATSU(Tohoku University)

[S11-5]
生物群集の多様性と動態を説明する"相互作用容量仮説" *潮雅之(京都大学)
Interaction capacity underpins community diversity and dynamics *Masayuki USHIO(Kyoto University)

[S11-6]
群集動態の予測・制御と頑健な生態系の設計 *東樹宏和(京都大学)
Prediction and management of community dynamics for designing robust ecosystems *Hirokazu TOJU(Kyoto University)


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