| 要旨トップ | ESJ69 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
自由集会 W16 3月18日 16:30-18:00 Room D, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応
里山の荒廃は、例えばunder useやため池改廃問題等により深刻化している。先般、緑の食料システム戦略の政策化があり、今後の先を見据えた適切な保全について考える上で、生態学者の基礎的研究等の役割は大きい。生態学ではOdum(1963)以来、自然界の構造と機能の両面を研究し、その両方をいかに結び付けて応用現場に役立てようとするかが一つの命題であり、生物多様性の保全管理においても同様であろう。とりわけCOP10以降、里山とその中心にある農地における生物多様性についての増進や保全への関心と活動の高まりから、構成種のリスト化(例えば、田んぼ全種リストなど)など構造面の記載的研究が進められ、その一方では個体群から群集、生態系レベルの諸機能についての解明が進められてきたが、その両者の統合を目指した研究事例やその知見に基づいた農生態系管理が求められる。例えば里山の希少種や絶滅が心配される種群を含む生物多様性を守る一方で、農林水産業やフードシテムにおいて有益な機能が生物多様性の生み出す生態系サービスがうまく供給されるのかどうかという点は、農業・農村の現場ではより重要視される。緑の食料システム戦略では、構造と機能のバランスというよりも、機能上の付与を如何に有機農業やIPM等の技術革新と社会インフラによって達成するかが最優先とされるが、地域本来に存立してきた農生態系の構造と機能(景観や農業農村文化)を置き去りにはできない。本集会では、各地で基礎的研究を進めてきた農業・農村の現場型研究者によリ進められてきた取り組み事例を紹介する。持続的農業の達成は、多様な地域や農生態系の在地性を重視しながらも、カーボンニュートラル等も考慮した、より健全な食料システムや経営流通など地道なアグロエコロジー志向の諸活動によって可能となるが、農生物多様性、農生態系の構造と機能を結ぶ創発を駆動因にすることが今後望まれる。
[W16-1]
農村の生物多様性の保全意識をどう醸成するか?-青森・岩手の機能強化の事例から-
How can we foster awareness of conserving rural biodiversity? - A Case Study of functional intensification in Aomori and Iwate -
[W16-2]
生産力と持続性の両立で期待される農業生物多様性がもたらす諸機能とその適用事例
Expected functions to achieve both of productivity and sustainability brought about by agro-biodiversity
[W16-3]
生態系機能を活用した環境保全型農業と持続性を考える
Environmentally-friendly farming and sustainability using ecosystem functions
[W16-4]
TEKで総合化する農生態系の構造と機能の創発 ‐持続的な食農システム試論‐
Emergent quality of the structure and function of agro-biodiversity integrated trough TEK ‐ sustainable food-agriculture system ‐