| 要旨トップ | ESJ70 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
シンポジウム S08 3月20日 9:00-12:00 Room C
生物圏は、自律的に成長するだけでなく過去の地球環境変動に対して優れた適応性を示しています。その調整・供給機能(CO2 吸収やバイオマス生産)を活用することは、化石燃料依存型の社会を脱却し、温暖化などの地球環境激変を回避する方策として有効と考えられます。この生物圏機能の解明に挑むべく「デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学」(科研費・学術変革領域(A))が立ち上がっており、多くの生態学者が参画しています。この中では、地球環境激変を回避するための生物圏機能強化による対策を提示することを目指した、様々な研究が進められています。
炭素に着目すると、土壌は炭素蓄積の場であり、同時に炭素放出の場でもあります。さらに植物による炭素固定のために必須である水・養分そして植物自体を支える重要な要素です。また、多くの動物は食物連鎖を通じて土壌の炭素を利用しています。一方で土壌が持つ高い時空間的異質性、複雑な物理化学性、そして生物性により、多くの場合で「ブラックボックス」として取り扱われてきました。しかし、特に近年分子生物学的な研究の進展により、特に不明だった土壌微生物の群集構造については多くの知見が得られています。さらに土壌微生物の機能の発揮状況、それらと土壌の物理性・化学性との相互作用の解明も進んできており、土壌研究は新たなフェーズに入ってきていると思われます。
本シンポジウムでは、この土壌という極めて取り扱いの困難なブラックボックスに切り込むために、土壌の物理性・化学性そして生物性に対して異なるアプローチで研究を進めていらっしゃる方々のご講演をいただきます。これらのご講演から浮かび上がる土壌の複雑さ、さらにそれを克服しようとする試みから、土壌圏機能の把握にどう取り組むか、特に物理性・生物性・化学性の融合からより高次の解析がどのように可能となるかを議論できればと思います。
[S08-1]
植物形質は土壌特性にどこまで影響するのか?
To what extent do plant traits influence soil properties?
[S08-2]
環境変化に対する土壌生物の応答
Responses of soil biota to environmental changes
[S08-3]
森林土壌微生物群集の地域スケールでの多機能性と環境応答性
Multifunctionality and its environmental response of forest soil microbial communities at the regional scale
[S08-4]
土壌炭素動態推定手法としての風乾土壌の水抽出有機物
Water extractable organic matter from air-dry soil to predict soil carbon dynamics
[S08-5]
土壌細菌の機能と進化
Function and evolution of soil bacteria
[S08-6]
公共メタゲノムデータで土壌微生物ダークマターに光を当てる
Shedding light on soil microbial dark matter using public matagenomic data
[S08-7]
日本の火山灰土壌における土壌有機物の蓄積モデルの試案
Challenge for building a carbon sequestration model for Japanese Andosols
[S08-8]
土壌微生物の群集ネットワークを探求する
Exploring the community network of soil microbial organisms