| 要旨トップ | ESJ71 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
シンポジウム S10 3月19日 13:00-16:00 Room E
植物におけるマスティングはこれまで多くの生態学者を魅了してきた現象である。マスティングが進化した背景として、非開花年に種子や花を食害するスペシャリスト捕食者の密度を下げ、開花年に大量に開花結実させることにより食害率を下げる捕食者飽食戦略説は古くから注目されてきた。その中でマスティング植物の花や種子からしか記録されていない昆虫なども発見されている。しかしこうした昆虫が長い間隔をあけて発生する開花期の期間にどのように生活しているのか、またどのように寄主植物を利用しているかについてはごくわずかな知見しかない。本シンポジウムでは、いつ起こるか分からない様々なタイプのマスティング植物を対象に模索を続けている講演者の研究から、マスティング植物と昆虫との攻防に光をあてるとともにマスティング植物を利用している昆虫の生態の謎にせまりたい。最後に、植物側と昆虫側の視点からそれぞれ2名のコメンテーター(柿嶋聡さんと小島弘昭さん)にご発表いただき、植食性の昆虫の寄主範囲の適応や植物におけるマスティングの進化に関する理解を深めるべく議論したい。
[S10-1]
マスティング植物に対する種子食昆虫の適応の謎:フタバガキとブナの事例
Mystery of adaptation by seed predatory insects against masting plants: cases of dipterocarps and beech
[S10-2]
120年の開花周期を持つタケササ類と花食者との関係
Relationship between bamboos with 120-year flowering interval and its florivores
[S10-3]
開花・結実に年変動があるカナメモチとスペシャリスト昆虫の関係から見えてくるもの
A perspective from the relationship between the masting species, Photinia glabra, and their specialist seed predator, Argyresthia assimilis
[S10-4]
カシ類(アカガシ節)の隔年結実とハイイロチョッキリの枝切り行動
Alternate-bearing of trees in section Cyclobalanopsis and the shoot-cutting behavior of the acorn weevil, Mechoris ursulus