| 要旨トップ | ESJ71 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
シンポジウム S16 3月21日 9:00-12:00 Room A
私たちが生活史戦略や個体群動態、生物群集や生態系機能を考えるとき、往々にして個体群や種の平均形質をイメージしている。しかし、同じ個体群にいる個体の間には、資源利用や生活史戦略、生息環境などに個体間変異があることが多い。このような個体間変異は、自然選択や中立浮動のターゲットとして進化の源泉となるだけでなく、個体群の持続可能性や群集構造、生態-進化フィードバック、生態系機能の維持にとっても重要な役割を果たすことがある。個体間変異の研究を行ううえでは個体間変異の測定や定量化は欠かせない。しかし、生活史戦略や行動パターンの個体間変異を評価するには経時的な個体追跡などの多大な調査努力が必要となる。また、遺伝的要因や表現型可塑性といった個体間変異が生じる仕組みの違いによって、進化や個体群動態、群集構造などへの個体間変異の影響は変わるかもしれない。さらには、個体間変異の影響が個体群・群集・生態系などの高次階層に及ぶための一般的なメカニズムや状況依存性はあるのだろうか。本シンポジウムでは、個体間変異の個体群・群集・生態系などへの影響を解明しようとする研究者が集まり、野外調査や理論モデルを用いたアプローチから分かり始めた新しい研究成果を報告する。講演者どうしや聴衆との交流を通じて個体間変異を研究することの意義を多角的に開拓することを目指している。
[S16-1]
趣旨説明:個体間変異の進化学的・生態学的重要性
Introduction: the evolutionary and ecological importance of interindividual variation
[S16-2]
個体間変異とその個体群レベルへの影響:川魚個体群での標識再捕獲アプローチ
Quantifying individual variation and its population-level consequences: A mark-recapture approach in stream fish populations
[S16-3]
生態系のつながりが創出・維持するサケ科魚類の生活史多様性
Ecosystem linkage contributes to generating and maintaining life-history variation in a salmonid fish population
[S16-4]
ウミガメの泳ぎ方における個体差の定量化
Quantification of individual differences in the swimming pattern of sea turtles
[S16-5]
環境応答の非同期性に対する種間・種内変異の寄与
Contribution of inter-and intra-specific variation to species asynchrony under environmental fluctuations
[S16-6]
雑種形成による性的放散の理論:交雑由来の個体間変異が導く平衡点間の推移と種分化
A theory of sexual radiation by hybridization: Admixture variation as a driver of shifts between evolutionary equilibria and speciation