| 要旨トップ | ESJ71 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
自由集会 W10 3月19日 16:30-18:00 Room B
島は進化の実験場ともいわれ、生態学的・進化生物学的に非常に興味深い対象である。近年、島嶼の生物に関する全球規模の情報の共有が進み、世界の様々な島嶼域を対象とした比較研究が盛んになっている。日本においても、これまで伊豆諸島や小笠原諸島、琉球列島を中心に多くの優れた島嶼生物学的研究が行われてきた。また、日本が島国である以上、離島に限らず日本列島で行われている生態・進化生物学的研究は、すべて島嶼生物学的研究として捉えることも可能である。しかし、現在の世界の島嶼生物学の中で、必ずしも日本発の研究が相応に認知されているは言えない。優れた研究にも関わらず、世界の島嶼生物学分野の研究コミュニティにおいて十分にアピールできていないことも一つの要因と思われる。
本自由集会のシリーズでは、以上のような視点から、日本の島々で行われている生態学・系統地理学・進化生物学的研究が、世界の島嶼生物学の中で果たしうる役割を再考・展望することを目的とする。
今回は「日本から発信する島嶼生物学」シリーズの第五弾として、島の生物の移動分散メカニズムをテーマとする。生物がどのようにして本土から隔離された島嶼に移動し、そして分布を広げたのか。これは島嶼生態系の形成過程を理解する上で重要なテーマであり、国内でも様々な生物を対象として興味深い研究が行われている。本集会では、島嶼における菌類の移動分散プロセス、植物の散布様式の進化、並びに鳥類や海流などベクターの影響に関する研究を紹介し、国内島嶼における生物の移動分散の特性や今後の研究展開について議論する。
[W10-1]
地下生菌はいかにして海洋島へ分布を広げるのか—伊豆・小笠原諸島における研究から
How does truffle-like fungi extend their distribution to oceanic islands? —a case of Izu and Ogasawara Islands
[W10-2]
海鳥の巣はタネの空港?~付着散布は巣から始まる~
Seabird nests are airports for seeds? Adhesive seed dispersal starts from nesting material.
[W10-3]
植物における分散能力の変化: 海洋島進出は分散能力の低下をもたらすか?
Evolutionary dynamics of dispersal ability in plants: Does colonization onto oceanic islands lead to a loss of dispersal ability?
[W10-4]
クサトベラの種子散布に関する果実二型が遺伝子流動に与える影響
Effect of fruit dimorphism on gene flow in the coastal shrub Scaevola taccada