日本生態学会

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第15回 生態学琵琶湖賞の実施について

菊沢喜八郎(琵琶湖賞運営委員長)

 生態学琵琶湖賞は滋賀県が実施主体となって14回まで実施されてきましたが、第15回からは日本生態学会が実施主体となって行っていくことになりました。

 滋賀県が、国際的にも知名度の高いこの賞の継続実施を断念されたのは、財政的理由によります。その賞を日本生態学会が主体となって実施するのは、それが日本生態学会にとっても会員にとってもメリットが大きいと判断したからであります。もちろん従来のように多額の賞金はでません。それどころか、賞金はゼロです。しかしながら、賞金多きがゆえに賞尊からず。賞の価値はその歴史、過去の受賞者、彼らが現在活躍している度合い、授賞者の名前、賞の知名度、授賞式と来会者、記念講演等々によって決まるのでしょう。これらを総合的に考慮して、賞金がゼロになってもこの賞にはそれなりの価値ありと判断したのです。何より、過去14回の歴史と錚々たる受賞者がおられます。これらの歴史は一度捨て去ってしまえば二度と再現することはできません。東アジアを中心に賞の知名度は上がっています。受賞されれば、その方には名誉であり、その経歴に花を添えることになるでしょう。受賞者は生態学会会員と限定はしません。しかし、過去の受賞者の過半は会員であり、今後もそうであろうと期待しています。

 賞金ゼロといえども、全くのゼロで賞を運営することはできません。そのために矢原会長を中心に「支える会」が作られることになっています。その会を中心に多少の資金を集め、受賞者の旅費くらいはなんとかしたいという計画です。ご理解をお願いしたいと思っております。

 日本生態学会会員の中にも、学会が実施主体となることに反対意見の方もおられます。一つは何故そんな面倒なことを引き受けるのか。という疑問です。これは上に述べたように、メリットのほうがデメリットより大きいと判断したからです。受賞者にとってメリットであるだけでなく、学会としても公益法人化後をにらめば、公益的事業の一つになるでしょう。別の反対意見として、琵琶湖賞は陸水関係を中心とした「水関係」のことを中心とする研究に与えられるもので、学会員全体から考えれば、不公平ではないかというのもありました。確かにそうだと思います。不公平を解消する方法として、引き受けるのを止めてしまう、のではなくて、他の分野を中心とする新しい賞を作ることで解消すればよいじゃないか。というのが私の意見です。でもそれを急ぐこともないでしょう。いずれそのような機会がくるはずです。

 最後に組織について。生態学琵琶湖賞は日本生態学会が実施主体です。琵琶湖賞運営委員は生態学会が委嘱したものです。運営委員が互選で運営委員長を決めました。運営委員会のもとに選考委員会が出来る予定です。選考委員会が授賞候補者の選考にあたり運営委員会に報告し、運営委員会が最終決定をいたします。滋賀県は実施主体からはずれましたが、この賞の創始者であり、今後もできる範囲で協力していただくことになっています。授賞式は滋賀県で実施し、知事が授賞にあたられます。

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