日本生態学会

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第16回 生態学琵琶湖賞の実施について

菊沢喜八郎(琵琶湖賞運営委員長)

 生態学琵琶湖賞は滋賀県が実施主体となって14回まで実施されてきましたが、第15回からは日本生態学会が実施主体となって行っていくことになり、次回は第16回、つまり新生琵琶湖賞の第2回目にあたります。

 滋賀県が、国際的にも知名度の高いこの賞の継続実施を断念された理由、それを日本生態学会が主体となって実施することにした理由は第15回にあたっての文章にのべましたので繰り返しません。賞金がゼロの賞に応募し受賞したところで、会員にとってどんなメリットがあるのか?私は大いにあると思います。賞金は使ってしまえばおしまいですが、受賞者の名は永遠に残ります。それとともに受賞記念講演があります。今回はこれについてお話しましょう。

 私のように長年研究・教育稼業をしていますと、いつも学生の前で講義はしておりますし、あちこちから頼まれて講演をしたりもします。それで、ずいぶん人前で話をしているような気になっています。ところが、年度末に整理してみると、一般の方の前で話をするのは、多いなと思う年でも、5回程度、平均すると1回か2回でしょう。自分の研究をある段階で総括し、わかりやすく話すというのは、実は得難い機会なのです。また、そう簡単ではないしそれなりの準備が必要なのです。研究にとってもマイナスではなく、準備の途中で新しいアイデアに恵まれたりもします。ましてそれが、受賞記念講演であり、あなた一人のために設定された機会であったとしたらどうでしょうか。こんな機会は一生に何度もあるものではありません。

 第15回の受賞者は北海道大学の中村太士さんでした。受賞当年でちょうど50歳という年齢(50歳以下という制限があります)。100編を越える立派な研究業績、陸上と水系にまたがる研究領域、陸上生態系が水域の生態系にどのような影響をあたえるかという視点、基礎研究に根ざした応用研究、実験の域を超えそうな大規模、壮大な操作実験等、どれをとっても琵琶湖賞にぴったりの方と言えます。第15回琵琶湖賞はこの人以外にはない。絶対にない。もう終わったことにそんなに力を入れても仕方がないのだが、つい力が入ってしまうほどの方に受賞していただくことができたのです。

 せっかく14回まで続けたのだから、賞金ゼロでもいいから続けようと言ったのは実は私なのです。言い出しておいて、いざやるとなったときに、応募者が少なく、受賞者が出なければどうしよう。なんとかなるやろ、と思いつつも、この心配事はチクチクと私を刺し続けました。それで、第1回なのだから、あちこち知り合いにお願いして、心当たりの方に応募をお願いもしてみました。その結果、上記のような立派な受賞者に巡り会うことができたのです。ご尽力いただいた皆様、特に応募していただいた方々に感謝いたします。前回受賞に至らなかった応募者の皆様、懲りずに第16回にもご応募ください。また前回は応募を見送った方々もどうぞご応募ください。

 生態学琵琶湖賞は日本生態学会が実施主体です。琵琶湖賞運営委員は生態学会が委嘱したものです。運営委員が互選で第15回運営委員会の運営委員長を決めました。第15回で終わりにしようと思っておりましたが、もう1回やるようにという話があり、第16回も引き続き菊沢がつとめています。運営委員会のもとに選考委員会が出来る予定です。選考委員は応募者の顔ぶれをみてから決めようかとおもっておりますが、委員長だけは占部城太郎さんにお願いしてあります。選考委員会が授賞候補者の選考にあたり運営委員会に報告し、運営委員会が最終決定をいたします。滋賀県は実施主体からはずれましたが、この賞の創始者であり、今後もできる範囲で協力していただくことになっています。授賞式は来年7月上旬、滋賀県で実施し、知事が授賞にあたられます。

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