| 要旨トップ | ESJ65 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
シンポジウム S01 3月15日 9:00-12:00 A会場
進化とは、現在みられる生物多様性を生み出してきた原動力であり、今後もその原理は普遍である。しかし、人間活動による環境負荷によって生物多様性が減少し、それを食い止めるため保全管理をしようとする結果、予期せぬ新たな進化を引き起こし問題が複雑化することが明らかになってきた。一般に、生物多様性の損失の多くは進化速度と環境変化速度の不整合の問題としてとらえることができ、生物多様性保全の実践の方法は、環境変化に対する生物の迅速な適応の理解に基づいて検討することが不可欠である。とくに、近年、土地利用、天然資源の過剰搾取、気候変動など多くの人間活動に関連する環境変化が一層深刻さを増していることから、それらの変化に呼応した急速な進化を予測・管理しなければならない。このように、進化生態学と保全生態学はきわめて深い関係にあるにもかかわらず、日本国内において、そのような理解は十分浸透しているわけではない。本シンポジウムでは、生物多様性の保全や生態系管理・再生における適切な戦略を決定するうえで、進化を考慮することが重要になってくる様々な側面をまとめる。進化を生かした保全とはどのような状況において有効なのか。それを実現するためには具体的にどのようなデータを収集すべきなのか。これまでにない一歩踏み込んだ議論を展開したい。
コメンテータ:横溝 裕行 (国立環境研究所)
[S01-1] 趣旨説明 :進化を考慮した応用生態学の展開
[S01-2] 種内変異と環境変動、そのモニタリング
[S01-3] 絶滅か、進化か:進化的救助と遺伝的救助
[S01-4] 進化を考慮した外来種管理の枠組みを検討する
[S01-5] 適応進化を考慮した林業の展開と挑戦
[S01-6] 水生植物の保全・管理における適応進化の視点
[S01-7] 進化と応用:さらなるフィードバックに向けて