第21回 生態学琵琶湖賞の実施について
占部城太郎(琵琶湖賞運営委員長)
生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞で、今回が第21回になります。生態学琵琶湖賞は1991年に創設され、これまで38名の国内外の研究者が受賞しています。日本生態学会が主体となって募集選考する賞ですが、学会員でなくても、応募、受賞可能です。
前回第20回は、香港大学の安原盛明博士と、総合地球環境学研究所の陀安一郎博士が受賞しました。安原博士は海洋堆積物に保存されている化石記録を利用し、海洋生態系の長期変動や生物多様性の時空間パターンの駆動要因を解明するなど、そのユニークな研究成果が高く評価されました。陀安博士は生態学における安定同位体の活用を積極的に推進し、陸域から河川・湖沼・海洋に至る様々な生態学の課題を研究し、その成果はもちろん、共同研究の推進や安定同位体の利用や啓蒙などにおいて指導的な役割を発揮してきたことが高く評価されました。このように、受賞者は独創的で高い水準の研究はもちろん、その成果をつうじて生態学のみならず広く学術や社会一般にもメッセージを発する波及効果を及ぼしています。この実績が示すように、生態学琵琶湖賞は水環境に関わる科学の地平を広げ、今後も広く社会に貢献すると期待される優れた研究者を後押しする学術賞ということができます。
審査は水圏科学の専門家だけでなく生物学や環境科学の分野で活躍されてきた選考委員により行われるため、特定の分野に評価が偏ることはありません。受賞者には、2021年7月の琵琶湖の日の前後に滋賀県と共催して行う受賞式に出席いただくとともに、受賞記念講演を行っていただきます。さらに、日本生態学会が刊行する学術雑誌に総説もしくは報文を執筆していただくこともお願いしています。
ご自身の業績に自信をもって、躊躇なく、生態学琵琶湖賞に応募していただきたいと願っています。