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第22回 生態学琵琶湖賞の実施について

占部城太郎(琵琶湖賞運営委員長)

 生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞で、今回が第22回になります。生態学琵琶湖賞は1991年に創設され、これまで40名の国内外の研究者が受賞しています。日本生態学会が主体となって募集選考する賞ですが、学会員でなくても、応募、受賞可能です。

 前回第21回は、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の源利文博士と総合地球環境学研究所/東京大学大学院総合文化研究科の吉田 丈人博士が受賞しました。源博士は世界で初めて多様な生物を対象とした環境DNAメタバーコーディングによる群集把握に成功し、これまで時間と労力のかかる環境モニタリング手法に改革をもたらすとともに、環境DNAを使った研究を普及させるなど、その先導的な研究成果や活動が高く評価されました。吉田博士は個体群の栄養動態に短期間での生物の進化が大きな影響を及ぼすことを世界で初めて実証した他、広く湖沼の生物群集の動態に関する基礎研究や淡水生態系の自然再生について地域の多様な関係者と協働する超学際研究を牽引するなど、その学術的な先見性と指導的な役割が高く評価されました。このように、受賞者は水圏を対象にした高い水準の研究はもちろん、その成果をつうじて生態学のみならず広く学術や社会一般にもメッセージを発する波及効果を及ぼしています。この実績が示すように、生態学琵琶湖賞は水環境に関わる科学の地平を広げ、今後も広く社会に貢献すると期待される優れた研究者を後押しする学術賞ということができます。

 審査は水圏科学の専門家だけでなく生物学や環境科学の分野で活躍されてきた選考委員により行われるため、特定の分野に評価が偏ることはありません。受賞者には、2023年7月の琵琶湖の日の前後に開催される授賞式で滋賀県知事より表彰されるとともに、受賞記念講演を行っていただきます。さらに、日本生態学会が刊行する学術雑誌に総説もしくは報文を執筆していただくこともお願いしています。

 ご自身の業績に自信をもって、躊躇なく、生態学琵琶湖賞に応募していただきたいと願っています。

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