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企画集会 T11
温暖化などの地球規模の環境変動により、生物進化史上かつてないほどの勢いで生物多様性の脆弱化が進行している。これまでの地球環境変化に対する生態系の将来予測のほとんどは定常状態を想定しており、生態系の変化プロセスは考慮されていない。生態系は食物網を構成する多様な生物の進化的応答とそれら種間の相互作用によって成立しており、環境変動の影響はそれらを介して緩和されたり、増幅されたりすることが知られている。
我々は、生物多様性とそれを支える種間相互作用や食物網構造を考慮した、環境変化に対する生態系の脆弱性を評価するシステムを構築することをめざしてプロジェクトを組織し、2005年から研究を行ってきた。対象として、重要な景観・観光資源であり、遺存種など特有の生物種も多い山岳生態系を選んだ。高山植物群落・高層湿原・亜高山針葉樹林などの陸域生態系と湖沼などの陸水生態系において環境特性・生理生態的特性・遺伝子流動・物質循環などについて包括的な研究を行った。本集会ではこれまで3年間の成果をまとめ、報告し、これからの可能性を探りたい。各成果発表に先立ち、全体の趣旨説明を行い、最後に総合討論を行う。
[T11-1] 高山帯のユニークな生態系構造と高山植物群集の気候変動への応答
[T11-2] 亜高山帯の標高傾度に沿ったアカエゾマツ林冠木の成長履歴
[T11-3] 湿原植物群集内における資源獲得競争とその環境応答
[T11-4] 高山帯湖沼生態系のバクテリア群集構造
[T11-5] 高山・亜高山帯における陸域−水域間の連結:湖沼食物網への陸上炭素の流入