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企画集会 T15

21世紀の熱帯林管理 -生物多様性保全における森林認証制度の効果

企画者: 今井伸夫 (京大・生態研), 鮫島弘光 (京大・生態研), 喜多智 (京大・生態研), 北山兼弘 (京大・生態研)

アジアの熱帯林では、過去30年で急激にその面積が減少した。残された森林のうち、一部は自然保護区として原生状態が維持されているが、大部分は生産林として利用されている。生産林は今後も木材生産の役割が期待されているが、一方で、多くの貴重な生物種の生息地となっていることが明らかになりつつある。生産林の面積は広大であるため、地域の生物多様性保全のために今後その適切な管理が強く求められる。

木材生産をしながら森林を持続的に管理する手段のひとつとして、「森林認証制度」が注目されている。森林認証制度は、環境に対して持続的で低インパクトな伐採システムがとられているかを評価・認証する制度で、認証による木材製品の差別化と持続的な森林管理の促進を目指している。しかし熱帯地域においては、その生物多様性保全に対する効果の評価は限定的なものに留まっている。ここで森林認証制度が保障する低インパクト伐採システムが地域の生物多様性に及ぼすプラスの効果を明示することができれば、認証製品の市場競争力をさらに高め、制度普及への強い動機付けとなりうる。

本集会では、1997年にマレーシアで初めて認証を受けたサバ州デラマコット森林管理区を例に、森林認証における低インパクト伐採が地域の生物多様性に与える影響を紹介する。大型哺乳類、絶滅危惧種のオランウータン、土壌動物、土壌微生物、植物など様々な分類群から制度導入の効果を紹介するとともに、これからの熱帯林管理システムと生物多様性保全について幅広く討論したい。

[T15-1] 熱帯地域における森林認証制度の現状と課題 内藤大輔 (京大院・アジアアフリカ研)

[T15-2] 低インパクト伐採による樹木多様性と林分構造への影響 *今井伸夫 (京大・生態研), 清野達之 (筑波大・生命環境)

[T15-3] 低インパクト伐採による土壌動物、土壌微生物への影響 *吉田智弘, 長谷川元洋 (森林総研・木曽), 喜多智 (京大・生態研)

[T15-4] 認証林と非認証林における野生動物相の比較研究 *小野口剛 (京大院・生態研), 松林尚志 (東農大・地域)

[T15-5] 森林認証制度のための大型動物モニタリングシステムの開発 *鮫島弘光 (京大・生態研), 松林尚志 (東農大・地域)

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