| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
シンポジウム S29 3月8日 9:00-12:00 Room F
国内外の自然史博物館には非常に多くの生物標本が収蔵されている。これら標本の遺伝情報を復元できれば、標本が採集された当時の情報を直接的に推定することができ、分子生態学にとって大変強力なツールとなりうる。しかしながら、標本のDNAは新鮮なサンプルと比較すると激しく劣化している。そのため、通常の手法と比較すると遺伝情報の取得が技術的に難しいのが現状であり、これまで国内ではあまり研究が進んでこなかった。現在では、次世代シーケンサーをはじめ、様々な遺伝解析手法が開発されていることで、標本の遺伝解析が比較的容易になってきた。
本シンポジウムでは、従来のサンガーシーケンス法からゲノムシーケンスまで、様々な手法に基づいて博物館標本を活用した研究について紹介する。紹介する研究手法はサンガーシーケンス (兼子)、マイクロサテライト (中濱)、ミトコンドリアゲノム (長太)、 MIG-seq (岩崎)、シーケンスキャプチャー (中臺)、全ゲノムリシーケンス (久保田)である。それぞれの演者による研究紹介のほか、各手法の注意点なども紹介していただく予定である。また、博物館標本の組織の一部の利用は、分類群によっては破壊的な利用を伴うことも少なくない。これら破壊的利用をはじめ、博物館標本を用いる際の注意点について、神奈川県立生命の星・地球博物館の大西学芸員に解説していただく。
[S29-1]
標本のDNA解析が明らかにする絶滅個体群の由来
DNA analysis of specimens reveals the origin of extinct population
[S29-2]
保全遺伝学における昆虫標本の可能性-マイクロサテライト解析の事例-
Availability of insect specimens for conservation genetics: microsatellite analysis of endangered butterfly species
[S29-3]
動物における標本DNAの有効性と問題点
Effectiveness and problems of historical DNA in animal specimens
[S29-4]
植物標本DNAのMIG-seq法による利用可能性・解析手法の検討
Examination of Possibilities and Methods for MIG-seq Analysis Using Plant Herbarium Specimen-Derived DNA
[S29-5]
標本を対象としたシーケンスキャプチャー:寄生蜂の超保存領域を一例に
Sequence capture from specimens: A case study focusing on Ultraconserved Elements of parasitoid wasps
[S29-6]
植物標本を利用した全ゲノムリシーケンス-過去100年間における適応遺伝子の探索-
Whole genome resequencing of herbarium specimens: Identifying the adaptive genes during the past century
[S29-7]
生態学者こそ、博物館標本を利用しよう!
Let's ecologists use specimens deposited in museums