| 要旨トップ | ESJ68 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S13  3月19日 9:00-12:00 Room E

分子、野外、モデルで繋ぐ季節性研究の今
Interdisciplinary approaches for understanding seasonal adaptation

石川麻乃(国立遺伝学研究所), 工藤洋(京都大学)
Asano ISHIKAWA(National Institute of Genetics), Hiroshi KUDOH(Kyoto University)

 季節は、地球上で最も代表的な周期性環境変動の一つである。この環境変動は、生物の生存・繁殖に強く影響を及ぼすため、生物の多くは季節性を持ち、生息地の季節変化に合わせて、成長・繁殖形質などを発現・変化させる。このような季節への適応戦略の進化は、地域集団間の分化や局地適応を引き起こし、時に種分化や更なる形質の多様化をもたらすため、生物多様性や新たな生物間相互作用の創出・維持機構として重要である。
 近年、分子生物学的手法が広く野外の非モデル生物に適用され始めたことで、古典的な実験モデル生物を用いた研究では不明だった生物の季節性の分子機構にまで踏み込んだ研究がなされ、その多様性と共通性が明らかになりつつある。更に、次世代シークエンサーやゲノム編集技術の急速な発展により、季節性の適応進化をもたらす原因遺伝子や原因変異についても、その機能や適応度への効果などを含めた実証研究が可能になっている。また、これらと野外操作実験やモデル研究を組み合わせることで、自然環境下で生じる生物の季節性の統合的な理解を目指した試みが急速に進んでいる。
 本シンポジウムでは、動物から植物まで幅広い生物について季節性に関わる分子機構の研究を話題提供し、その多様性と共通性について議論するとともに、ミクロ生物学とマクロ生物学の融合による新たな研究の可能性を探りたい。

コメンテーター:本庄三恵(京都大学・生態学研究センター)

[S13-1]
植物の分子フェノロジー:トランスクリプトーム、エピジェネティクス、生物間相互作用 *工藤洋(京都大学), 湯本原樹(京都大学), 杉阪次郎(京都大学), 伊藤佑(京都大学, ジョンイネスセンター), 村中智明(京都大学, 鹿児島大学), 西尾治幾(京都大学), 本庄三恵(京都大学)
Plant molecular phenology: transcriptome, epigenetics, and biological interactions *Hiroshi KUDOH(Kyoto University), Genki YUMOTO(Kyoto University), Jiro SUGISAKA(Kyoto University), Tasuku ITO(Kyoto University, Jhon Innes Center), Tomoaki MURANAKA(Kyoto University, Kagoshima University), Haruki NISHIO(Kyoto University), Mie HONJO(Kyoto University)

[S13-2]
昆虫の季節性休眠を調節する光周性分子神経機構の解析 *志賀向子(大阪大学)
Neurobiological mechanisms underlying photoperiodic control of seasonal diapause. *Sakiko SHIGA(Osaka University)

[S13-3]
サンゴ類の一斉産卵日予測モデル:概日時計と月齢シグナルの統合 *幸元秀行(九州大学), 林哲宏(中央研究院), 野澤洋耕(中央研究院), 佐竹暁子(九州大学)
Predicting synchronous spawning days in corals: Integration of circadian clock and lunar cue *Hideyuki KOMOTO(Kyushu University), Che-Hung LIN(Academia Sinica), Yoko NOZAWA(Academia Sinica), Akiko SATAKE(Kyushu University)

[S13-4]
トゲウオから探る季節性生活史の収斂進化の分子遺伝機構 *石川麻乃(国立遺伝学研究)
Genetic mechanisms of convergent evolution of seasonal life history in sticklebacks *Asano ISHIKAWA(National Institute of Genetics)

[S13-5]
比較生物学から迫る脊椎動物の季節適応機構 *吉村崇(名古屋大学・WPI-ITbM)
Comparative biology approach to understand the vertebrate seasonal adaptation mechanisms *Takashi YOSHIMURA(WPI-ITbM, Nagoya University)


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