| 要旨トップ | ESJ69 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S01  3月17日 9:00-12:00 Room A, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応

フィールド生態学の挑戦: 陸域・水域研究のフロンティアを求めて
Frontiers in field ecology: challenges of terrestrial and aquatic ecosystem research in the 21st century

東樹宏和(京都大・生態研), 佐藤拓哉(京都大・生態研), 北島薫(京都大・農)
Hirokazu TOJU(Kyoto Univ.), Takuya SATO(Kyoto Univ.), Kaoru KITAJIMA(Kyoto Univ.)

 科学、それは自然の美しさに心奪われた者たちのいつ果てるともしれない探究の連なりである。地球生態系に秘められた現象を見出し、その深淵な意味に触れたとき、私たちは言語に尽くせない感動を味わうとともに、どこかで真空に投げ出されたような不安を感じる。学派や既成概念といった雑音に煩わされることなく、ただただ生態系に分け入り、自然現象がかすかにささやく言葉を聞き取ろうと耳を澄ます。それこそフィールド生態学の醍醐味と言えるのではないだろうか。
 本シンポジウムでは、生態系や生物群集が魅せる現象に魅せられ、無我夢中で野外生態学研究に邁進してきた研究者たちの講演を通じ、生態系科学の原点を確認するとともに、今だからこそ挑戦できる課題について議論する。ハイ・スループットな核酸解析や各種の測定技術、さらに統計・理論研究の精緻化によって、私たち生態学者が解明できる現象の領域が大きく拡がってきている。そうした時代だからこそ、フィールドに分け入り、生態系や生物群集内の現象を偏りない視点でみつめる力が問われていると言えるであろう。
 本シンポジウムの演者たちは、学生時代から、もしくは現役の大学院生として、フィールドワークを基礎とした研究でフロンティアを開拓してきた。陸域・水域とフィールドは異なれども、人類の誰もまだ見たことのない生物世界の美しい現象とその背後に潜む原理に迫りたいという思いは同じである。今だからこそフィールド生態学を土台として挑戦できること、そして、未来の世代に地球生態系という最高の研究対象とつないでいくために今できることを見据えて、これからの生態学を議論したい。

[S01-1]
多様な生態系をみつめることで多種システムの共通駆動原理に到達できるか? *東樹宏和(京都大・生態研)
Comparative and interdisciplinary approaches for gaining fundamental insights into community- and ecosystem-level phenomena *Hirokazu TOJU(Kyoto Univ.)

[S01-2]
ボルネオ島の熱帯雨林で同所的に生息するシベット4種の共存機構を探る *中林雅(広島大・理工), 石川尚人(海洋研究開発機構), 蔦谷匠(総研大・先端科学), 佐々木瑶子(海洋研究開発機構), 小川奈々子(海洋研究開発機構), 大河内直彦(海洋研究開発機構), AHMADAbdul(マレーシア・サバ大), 幸島司郎(京都大・野生動物)
Investigating coexistence mechanism of four civet species in Bornean rainforests *Miyabi NAKABAYASHI(Hiroshima Univ.), Naoto ISHIKAWA(JAMSTEC), Takumi TSUTAYA(SOKENDAI), Youko SASAKI(JAMSTEC), Nanako OGAWA(JAMSTEC), Naohiko OHKOUCHI(JAMSTEC), Abdul Hamid AHMAD(Universiti Malaysia Sabah), Shiro KOHSHIMA(Kyoto Univ.)

[S01-3]
大規模野外操作実験で紐解く生態系間相互作用の季節動態 *佐藤拓哉(京都大・生態研)
Large-scale field experiments for revealing seasonal dynamics of inter-ecosystem linkage *Takuya SATO(Kyoto Univ.)

[S01-4]
大規模食性解析から食物網ネットワークの季節動態を探る *鈴木紗也華(京都大・生態研), 馬場友希(農研機構), 木庭啓介(京都大・生態研), 東樹宏和(京都大・生態研)
Exploring the seasonal dynamics of food web networks from large-scale dietary analysis *Sayaka SUZUKI(Kyoto Univ.), Yuki BABA(NARO), Keisuke KOBA(Kyoto Univ.), Hirokazu TOJU(Kyoto Univ.)

[S01-5]
森と川のつながりが維持するアマゴの生活史多様性:野外操作実験とゲノム解析の融合へ *上田るい(神戸大・理), 金岩稔(三重大・生物資源), 照井慧(UNC Greensboro), 瀧本岳(東京大・農), 武島弘彦(東海大・海洋), 勝村啓史(北里大・医), 橋口康之(大阪医科薬科大・医), 山﨑曜(国立遺伝学研究所), 佐藤拓哉(京都大・生態研)
Forest-stream linkage maintains life-history variation in red-spotted masu salmon *Rui UEDA(Kobe University), Minoru KANAIWA(Mie University), Akira TERUI(UNC Greensboro), Gaku TAKIMOTO(University of Tokyo), Hirohiko TAKESHIMA(Tokai University), Takafumi TATSUMURA(Kitasato University), Yasuyuki HASHIGUCHI(OMPU), Yo YAMASAKI(NIG), Takuya SATO(Kyoto Univ.)

[S01-6]
耐陰性樹種の稚樹の長期観察から見えてくること *北島薫(京都大・農)
What I have learned from long-term observations of shade tolerant tree seedlings *Kaoru KITAJIMA(Kyoto Univ.)


日本生態学会