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シンポジウム S06
かつて日本の全国土面積の1割以上を占めていた半自然草原は、高度経済成長期以降急速に減少し、多くの草原性生物が絶滅の危機に瀕している。阿蘇に代表されるような半自然草原の成立時期や過程については不明な点が多く、植生史研究の分野では、最終氷期終了後の約1万年前〜6000年前にかけて微粒炭が多く検出され、この時期に火事が多く起こっていたことが明らかになりつつある。このような火事と、日本の半自然草原の起源とが深くかかわっている可能性も指摘されている。
一方、阿蘇地域においても、畜産の担い手不足等によって草原の維持・管理が困難になってきており、多くの草原性生物が絶滅の危機に瀕している。このような状況のもと、自然再生推進法に基づいて「阿蘇草原再生協議会」が設立され、草原再生に向けた各種取り組みが開始されている。
本シンポジウムでは、半自然草原に特徴的な生物相の成立と維持に、人間がどうかかわってきたのかを考えるとともに、これまでの阿蘇、中国・四国地方などでの草原再生の事例を紹介し、かつて「草原国」でもあったわが国における今後の保全・再生のあり方について、問題を投げかけたい。
[S06-1] 微粒炭分析からみた阿蘇の半自然草原の成立
[S06-2] 日本列島および中部山岳域における半自然草原の変遷史に向けて
[S06-3] 阿蘇の草原植物の現状と花野再生
[S06-4] 刈り取りは希少植物サクラソウ、ケルリソウの個体群増大に有効か?
[S06-5] 火入れ草原を題材とした環境教育の試み−広島北部,雲月山での取り組み −
[S06-6] 草原再生を支える社会システムの解析