| 要旨トップ | ESJ69 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S22 3月19日 9:00-12:00 Room C, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応
長期生態系観測の重要性が叫ばれて久しいが、時代とともに状況が変わってきた。当シンポジウムでは、現状と課題を確認し、将来の長期観測推進の方向性を議論したい。
長期観測を継続・活用するためには、持続可能性が肝要である。毎木調査に代表されるアナログ手法による長期モニタリングでは、同一プロトコルが担保されることで、自然環境の長期変化を読み取ることができる。そのような長期観測を継続するには、人的および資金的資源の担保を要する。この重要性を社会に効果的に発信して、長期観測に要する社会ニーズの高まりや資源の確保を目指さねばならない。そして、データ取得と公開を引き継いでいくためには、大学院生等の若手育成と支援が必要である。同時に、技術革新が進む中、衛星観測や機械学習などの情報活用が今後は重要性を増すであろう。長期観測という時間方向のビジョンだけではなく、地域をまたいだ観測網という空間方向の広がり、ネットワーク強化を図ることも今後の環境変動等への予測応答には必須である。さらには、全国の観測拠点等にある計測機材、技術、分析機器の共有を図ることも、限られた資源を相補的に有効活用することに繋がる。市民サイエンスの地域を超えた繋がりも、研究者による長期観測を補完する重要な役割を担っている。これまで、JaLTER(日本長期生態学研究ネットワーク)では、データ取得と格納、論文化、データ公開の促進に取り組んできたが、自然環境と社会情勢の変化を鑑みると、科学と教育や政策、社会を結ぶプラットフォームとしての役割強化が求められている。以上から、環境変動の時代の将来を見据えた長期観測とデータ活用の在り方を議論する。
コメンテーター:北島薫(京都大学農学研究科)
当シンポジウムは、JaLTER、大規模長期生態学専門委員会、国立環境研究所・生物多様性評価連携研究グループ、JST SOLVE for SDGsプログラム(JPMJRX21I4)との共催である。
[S22-1]
主旨説明:次世代の生態系観測に向けて
Opening remarks: For next-generation ecosystem monitoring
[S22-2]
長期観測の必要性:生物多様性の評価・予測の視点から
Necessity of long-term observation: from the perspective of biodiversity assessment and projection
[S22-3]
水産分野での生態系観測に関連した政策ニーズの動向について
Trends in policy needs related to ecosystem monitoring in the fisheries sector
[S22-4]
森林の多面的機能の評価に長期観測はどのように貢献できるのか?
How can long-term observations contribute to evaluation of multifunction of forest ecosystems?
[S22-5]
熱帯林の保全・再生事業におけるデータ利用
How are ecological data used in forest conservation and restoration projects?
[S22-6]
企業による生物多様性モニタリング
Monitoring biodiversity for business
[S22-7]
長期生態系調査のための市民参加型調査の可能性
Potential of citizen-science monitoring for long-term ecological research
[S22-8]
全国共同利用・共同研究拠点による生態系観測サービスについて
Introduction of Joint Usage / Research facility for the ecosystem monitoring
[S22-9]
地域協働を通じた観測データの拡充:継続的な長期生態系観測に向けて
Ensuring Long-Term Ecosystem Observation through Regional Collaboration
[S22-10]
大規模長期生態学研究を通じた日本学術会議・マスタープランの提案
Research projects for large scale and long term ecology in Japanese Master Plan by Science Council of Japan