| 要旨トップ | ESJ69 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S05 3月17日 13:00-16:00 Room A, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応
病原生物は自然界に普遍的に存在し,地球上の生物種の半数以上が何らかの生物に対する病原生物であると言われている。病原生物は,宿主の個体群動態や,他の生物との種間関係に影響し,ひいては食物網の構造・動態や物質循環を改変するほどの影響力をもつ。また,地球温暖化や富栄養化,生息地の改変といった人間が引き起こす環境変化に伴い,新興感染症の発生や拡大の可能性も指摘されている。実際,COVID-19をはじめ新興感染症の発生は増加傾向にあり,これらの約7割が野生生物由来の人獣共通感染症である。このように,感染症は社会問題であるとともに地球規模で捉えるべき環境問題でもある。
新興・再興感染症の発生予防やパンデミック防止に向け「人」「動物」「生態系」の健康を一つととらえるワンヘルスアプローチが提案され,国際的な取り組み,研究が進められている。今,生態学ができることは何か?自然界での感染症の動態,宿主や環境との相互作用,食物網や生態系における役割,生物多様性と感染症の関係など,生態学的視点に基づいて感染症を理解することは,今後の感染症の流行予測や予防のヒントとなり,感染症がもたらす社会問題を考えるための基礎となるだろう。
本シンポジウムでは,獣医学,医学の専門家をお招きし,生態学に期待することを講演していただく。また,シンポジウムの企画に先立ちJeconetを通じて公募したところ,異なる生物群,システムを対象に感染症の生態学を展開している方々から応募があった。多様な視点で感染症の生態学に取り組む研究者を一堂に会し,今後の展望について議論する。
コメンテーター
佐藤拓也(京都大学生態学研究センター)
三木健(龍谷大学・先端理工学部)
[S05-1]
趣旨説明:今,生態学にできること
Introduction: What can ecology do?
[S05-2]
感染症疫学から生態学に期待するもの
What to expect from infectious disease epidemiology to ecology
[S05-3]
野生動物に分布する薬剤耐性菌の生態学
Ecology of antimicrobial-resistant bacteria in wild animals
[S05-4]
蚊の吸血行動と環境
Mosquitoes' blood feeding behavior
[S05-5]
トキソプラズマ原虫の感染ネットワークの解明に向けて~徳之島の事例~
Toward the elucidation of Toxoplasma gondii infection network~case of Tokunoshima Island~
[S05-6]
野草地放牧は羊の線虫感染を緩和できるか? 羊の健康と採食行動調査から
Can native pasture grazing mitigate nematode infection of sheep?
[S05-7]
海洋性動物プランクトンのウイルス研究
Insights on marine viruses associated with zooplankton
[S05-8]
COVID19と人間行動生態学
COVID19 and human behavioral ecology