| 要旨トップ | ESJ71 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
シンポジウム S06 3月19日 13:00-16:00 Room A
2000年、これまで認知科学や動物行動学で対象とされてきた生物の認知現象や行動・社会性を、生態学的な観点に基づいて統合的に理解する試みである「認知生態学」が提唱された。「生命とは何か」においてシュレディンガーが説いたように、生命現象を理解する上で、科学分野の統合は必須である。しかし、生命現象を研究する困難さゆえに、動物を対象とする研究は、対象とする生物や実験手法、研究アプローチ(例:ティンバーゲンの4つのなぜ)の違いによって歴史的に分断されてきた。特に、神経科学や動物心理学、動物行動学、生態学に関わる研究者の多くはそれぞれ共通の関心を持っているのにも関わらず、対面する機会が非常に限られている。
本シンポジウムの演者たちは、現役の研究者として、動物行動や認知に関わる研究に取り組んできた。実験対象や研究のアプローチは異なれど、生物の認知現象、行動、社会性を理解しようという思いは同じである。また、生物の社会・認知現象を理解するためには、その種の生態を考慮することは必要不可欠であり、それらの視点は欠かせない。本シンポでは、それらの視点を持って異なる分野でこれまで個別に研究してきたそれぞれの演者たちから、動物行動、神経生物学、動物心理学、human computer interactionの研究を一同に発表してもらう。生態学的な視点という共有されたプラットフォーム上でこれらを俯瞰、議論することで、認知生態学が目指す統合的理解の視座を参加者に提供することを目指す。
[S06-1]
認知生態学について
Introduction to Cognitive Ecology
[S06-2]
化学感覚受容によって抑制されるショウジョウバエ幼虫の共食い行動
Cannibalistic behavior inhibited by chemosensation in Drosophila larvae
[S06-3]
青色光毒性を用いた人為選抜によるショウジョウバエの共生菌依存的な表現型の変化
Artificial selection on blue light toxicity induces symbiont-dependent phenotypic changes in Drosophila
[S06-4]
昆虫にペアボンドはあるか?: 配偶前後で変化するクチキゴキブリペアの共闘行動
A pair bond in insects: cognitive ecology of mutual wing-eating in a wood-feeding cockroach
[S06-5]
カワスズメ科魚類の社会を駆動する心理メカニズム
Psychological mechanisms driving society among cichlid fishes
[S06-6]
運動解析から探るハトとカラスにおける採食行動のメカニズム
Mechanisms of feeding behavior in pigeons and crows through tracking analysis
[S06-7]
コウモリの超音波センシングによる空間学習飛行についての分析
Behavioral analysis for spatial learning flight of bats during obstacle avoidance navigation with ultrasonic sensing.
[S06-8]
コンピュータによって多様化する自己とそのメカニズム
"Self" Mechanisms are Diversified by Computer.