| 要旨トップ | ESJ71 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
シンポジウム S19 3月21日 9:00-12:00 Room D
有性生殖をする真核生物の生活環は、染色体を1セット持つ状態と2セット持つ状態により特徴づけられる。通常、生物の進化・生態を考える場合、個体は父と母に由来する2セットのゲノムをもつ細胞が多細胞化していると想定することが多い。
しかしながら、生物はしばしばその想定を裏切る。その代表例として、近縁種からなるグループが、ある最小の染色体数の整数倍セット数を持つ種から構成される倍数性が挙げられる。このような特徴をもつ生物集団では、異なる染色体セット数で特徴づけられる個体間に複雑な遺伝学的・生態学的相互作用が生じうる。
本シンポジウムでは、上記のような集団構造をもたらす倍数性に限定せず、染色体セット数の変化としての倍数性をテーマとし、様々な分類群で観察される倍数性を研究者らが如何に扱い、そこにどのような進化生態学的な魅力があるのかについて紹介したい。
具体的には、埼玉医科大学の別所がhaploidの配偶体とdiploidの胞子体が入り交じる藻類について、かずさDNA研究所の佐藤が倍数性を示す生物のゲノム解析について、九州大学の三品がフナで見られる倍数性と生殖システム進化のメカニズムについて、千葉大学の綿野がシダ植物で見られる倍数性について、日本大学の内海がゲノムコンフリクトによる胚乳での倍数性進化について話す。さらに、本集会では生態学会外から2名の研究者をお招きし、かずさDNA研究所の磯部氏にイチゴやサツマイモなどを用いた倍数性植物のゲノム解析について、静岡大学の大林氏にバクテリアで見られる倍数体の進化可能性に関してそれぞれお話して頂く。
[S19-1]
異質4倍体水田雑草タイヌビエのT2Tゲノム解析
Telomere-to-telomere genome analysis of an allotetraploid pernicious weed, Echinochloa phyllopogon
[S19-2]
植物の倍数体ゲノム解析の沼
The Abyss of Polyploid Plant Genome Analysis
[S19-3]
バクテリアにおいて多倍数体は進化にとって有利なのか?〜遺伝様式から考える〜
Is polyploid advantageous for evolution in bacteria ?〜focusing on inheritance manner〜
[S19-4]
フナ類にみられる倍数性変化を伴うクローン繁殖の分子基盤とその安定性
Molecular basis and stability of clonal reproduction with ploidy change in Carassius fish
[S19-5]
配偶体と胞子体が混在する集団におけるFst
Fst in a haploid-diploid population
[S19-6]
シダ植物の異質倍数体化による種分化は親種からのニッチ分化を伴うのか?
Does allopolyploid speciation in ferns involve niche differentiation from the parent species?
[S19-7]
ゲノムコンフリクトによる胚乳での倍数性の進化
Evolution of triploid endosperm by genomic conflict